2014年11月1日(土)


ついにこの日がやってきました。

ウィーン・ヴィルトゥオーゼンのみなさんと同じ舞台にのって、直接指導を受ける機会に恵まれました。

山女オケをモデルバンドに選んでくださったことに感謝です。

【ウィーン・ヴィルトゥオーゼン メンバー】

ヴァイオリン
クリストフ・コンツ(ウィーンフィル・リーダーヴァイオリニスト)
トーマス・キューブルベック(ウィーン国立歌劇場管弦楽団)
ヴィオラ
エルマー・ランダラー(ウィーンフィル)
チェロ
フランツ・バルトロメイ(ウィーンフィル首席・ソロチェリスト)
コントラバス
ヨーゼフ・ニーダーハマー(ウィーン国立音楽大学教授)
フルート
ワルター・アウアー(ウィーンフィル首席)
オーボエ
クレメンス・ホラーク(ウィーンフィル首席)
クラリネット
エルンスト・オッテンザマー(ウィーンフィル首席)
ファゴット
シュテパン・トゥルノフスキー(ウィーンフィル首席)
ホルン
ヴォルフガンク・ヴラダー(ウィーンフィル)


朝から、さくらぴあに集合。
はやる気持ちをおさえながら舞台をセッティング。

午前中は、大ホールが使い放題。

モデルバンドとして、課題曲である「コッペリア」の合わせを行いました。



昼食時間になると、メンバーの音が控室から聞こえてきました。
控室のドアを通しながらですが、すでに鳥肌ものの音が・・・。


ついに、その瞬間が12:30から・・・。


■ 大ホールで、弦楽器セクション


リハーサル室で、管楽器セクション


パートリーダー達は、英語でコミュニケーションを取ったり、質問をしようとして、英語教員H先生に聴いてもらったり、ソワソワ・・・。

みんな緊張した顔の中、TVの中でしか見たことのない楽器の名手たちが、目の前に・・・。




大ホールで行われた弦クリニックでは、
コンサートマスターのコンツさんが自ら
指揮棒を手にして、マズルカを指導。





フランスの曲の優雅さと、マズルカ独特の
リズム感、そのときの右手の使い方、
脱力感などを身振り手振りで指導。



舞台の下からはチェロのバルトロメイさん
が、中3のMさんに、やさしく声をかけて、
重みをもった右手の動かし方を指導。

コントラバスのニーダーハマーさんも、
1拍目の重みを強調するように、楽器に
触れながら指導。


本当に、夢のような空間でした。


リハーサル室で行われた管クリニックでは、管楽器の神様たちが、メンバーと向かい合って着席。
部員たちの英語の掛け声で始まりました。

クラリネットのオッテンザマーさんは、このグループのリーダー。
同じクラリネット吹きの私としては、神様のような存在。



そして、13:15~は、オールメンバーで合奏体系でのクリニック。


これは、公開クリニックで一般の方々も大ホールに入ってこられたのですが、この数の非常に多かったこと・・・。

それほどこのメンバーが特別な存在であるということ、少しでも近くで見たい存在であるということ、どんな発言をするのか注目される存在であるということですね。




まずは、セクションのクリニックの成果を見せるために、マズルカを通しました。

ウィーンのメンバーは客席で真剣な表情で私たちの演奏を聴いてくれていました。



演奏し終わると、ウィーンのメンバーから思いもしない賛辞が。

        「すばらしい。いうことなし。」


        「弦楽器&管楽器があわさってさらによくなった。」


        「トロンボーン&パーカッションはシャープでクリアで
        音楽を引き締めている。」


うれしかったけど、これで終わらせるわけにはいきません。
少しでも、得るものを得て帰らなければ・・・。


そこで、質問ぜめ。


コンミスのUさんからは、
        「私たちが、上を向いていくにはなにが必要か?」


キャプテンのHさんからは、
        「ピアノのときの、右手の動かし方が難しい。アドバイスを。」


すると、10名の人たちから次から次へと・・・。

        右手に必要な3要素や、ピアノだからといって消極的はいけない。
        逆にたくさん使うんだ!

など、情熱的に語ってくれました。


その中でも、チェロのバルトロメイさんは、こうもおっしゃっていました。

        「もちろん技術的には、いろいろあるかもしれない。
        でも、それよりもたいせつなことがあるよ。


        とてもよく弾けているし、情熱的なオケだ。
        指揮者の全体構成もよくわかるし、それによくついていっている!。


        でも、もっとみんなの顔を見よう。
        となりにいる友達を信頼して、パートナーとして見あって演奏しよう。


        そして、もっと顔や体で表現したいことを出して、ほとばしらせよう。
        すると、もっともっと魅力的な音楽ができる。
        大切な仲間とのアンサンブルを口角を上げて、楽しもう!」



部員たちの目は輝いていました。

はじめて、見るくらいに・・・。

一言も聞き漏らすまい・・・という必死に英語をわかろうとする目。

私は、本当にこの目を見て幸せでした。



そして、ファゴット奏者のトゥルノフスキーさんがおもむろに座席から舞台上に上がってこられて、私に歩み寄ってこられました。

そして、わかりやすい英語で私に。

        「あなたの指揮は本当にすばらしいし、適格な指示だ。
        でも、私が思うに、この曲はもう少しゆっくりと3拍子を
        大切に守り、1拍目をもっと決めるとより一層輝くはずだ。


        もう一度、テーマの3拍子をやってみてくれないか?」



そして、テーマの部分を1拍目を言われるように重心を持って、おもためにふり、全員を長めに演奏させるとさらに重心がかかった演奏に変化しました。



トゥルノフスキーさんが、満足そうに他のメンバーに「どうだい?」と聞くと、他のメンバーも「ビューティフル」

握手をして、舞台上から降りられました。私にとっても、夢のような時間でした。


そして・・・

約束の時間が過ぎようとした頃、メンバーたちが舞台下から楽屋に全員が移動を始めました。

そう。

なんと、

        「こんな演奏を聞かせてくれたのだから、私たちもプレゼントしよう」

ということで、同じ舞台にメンバー全員が上がり、山女オケのメンバーのためだけに、
1曲演奏してくれることになったのです。


お客様に背を向けて、ただ山女オケのためだけに1メートルの至近距離で演奏してくれたのです。

メンバーの顔は高揚していました。
みんな、われ先にお目当ての自分の楽器の奏者の前に陣取りました。


演奏してくれたのは「ハンガリー万歳」。

3分ほどの演奏でしたが、みんな一瞬もまばたきすることもなく、くいいるように見つめていました。

天国のような音に、ほとんどの人が泣いていました。

そう。なぜだかわからないけど涙が出る。

そんな気持ちだったのでしょう。


同じ楽器でも、あんなすてきな音が出る。

しかも、同じ舞台にいてすぐ近くで私たちのためだけに演奏してくれている。

ウィーンのメンバーも、山女オケのメンバーたちにだけ聞かせようと演奏してくれている。

これが、なんともいえない感動に包まれたのでしょう。



すべてが終わり、部員たちはサインをもらったり、写真を撮ったりしましたが、名残惜しいですが、メンバーはリハーサルが待っています。

また、お土産として、廿日市市名物のけん玉をプレゼントしました・・・。


最後に、

ウィーン・ヴィルトゥオーゼンのリーダー、クラリネットのオッテンザマーさんと、
オーボエ奏者のホラークさんは、自ら私のところに来て、握手をしてくれました。

        「感動した。いい子たちを育てているね。とても、初心者ばかりだとは考えられないよ。
        この子たちは、きっとうまくなる。がんばって!」




この体験を通じて、世界の音を聴けたことは確かにすばらしいことでしたが、それよりも
よかったことは・・・


    部員たちの目の輝きが変わったこと。


    そして、あんな目をして音楽に向き合ってくれたこと。


    音楽を聴いて涙を流して、この瞬間に感動してくれたこと。


    そして、私たち変わった気がするって感じてくれたことです。


こんな機会を与えてくださった、廿日市市のみなさんをはじめ、助けてくださったすべての人にお礼を申し上げたいと思います。


ちなみに、部長のHさんは、帰って来てからこう言っていました。

        「なんか悩んでいたことが小さいなって思いました。
        みんなでやる音楽がこんなにすてきなんだって自信がつきました。


        音楽って、こんなに気持ちを変える力があるんですね。音楽っていいな。」




当日の様子が、ふれあいチャンネルで放送されました!
是非こちらもご覧ください。

LinkIconhttp://www.youtube.com/watch?v=nFXLa34iF2A